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NeHaHaLoG

¥1500の価値 

こんにちわNehahaloです。

今日は一枚のTシャツの話をします。
商品名 ドライEXクルーネックT(半袖)
価格 ¥1500
サイズ S M L XL
カラー 5色

さてこの商品。何度かこのブログでお話しておりますが、
私が関わっている、 PROJECT の看板商品です。
皆様はこの商品高いと思いますか?安いと思いますか?

私からはセールスポイントや制作の背景について説明させて頂きます。
後は機会があれば、お店でご覧頂き、気に入ればご購入頂ければ幸いです。




1)まず素材ですが、東レが独自に開発した素材を使用しています。
東レのwebには3層構造組織による毛細管現象の働きで、汗をすばやく吸収し、拡散・乾燥
させます。とあります。
どの位素早いのか?というとレベル的には世界最速の分類になると思います。テニスの
ノバク ジョコビッジユニフォームや錦織選手のユニフォームに使用されている事がその
証明かと思われます。
世界のトップアスリートが、自らの身を預けている物と同じ機能がそれには備わっています。


さらに悪臭の元となる、汗に含まれるアンモニアを中心とした雑菌の繁殖を抑制し、より
清潔に保ち、匂いが出にくい抗菌防臭加工を施しています。


2)続いて縫製に関してですが、これはフラットシーマー縫製と呼ばれている手法で
縫われています。どのような物かというと、下着や水着等の肌に密着する物に多く採用されている、文字通り
シーマー(縫い目)がフラット(極端に平ら)にするよう4本の針と糸を交差させながら縫う
特殊ミシンによる縫い方です。
これをする事でミシンの縫い目が、限りなく平らに近くなり肌に当たった時の違和感を軽減し着用感の
向上に役立っています。


3)最後にデザインとパターンについてですが、世界中のどんな人にも絶妙にフィットし、いつでもどこ
でも着る事が出来るようにシンプルにしながら、人間の骨格に合い、人間の動きを妨げないように設計
しています。
また全ての縫い目に着心地が良くなる事や、体が美しく見える事を考えた線になっています。
それらを超合理的に必要最低限の構造と行程で、作れるように考えていることが、何も無いように
思えるかもしれませんが、デザインとパターンの最大の特徴です。

具体的には、この洋服を作る為に必要なパーツは8枚しかありません。それらを縫い合わせる
縫い目の数は12本。たったそれだけです。この単純な構造に落とし込むこそが人がミシンで縫う上で
の合理性を生んでおり、効率的な生産を可能にしている訳です。




それにしてもなんで¥1500で売る事が出来るんでしょうか?
大量に作っているから。
海外生産の為工賃が安いから。
生地が安いから、、、
 

それだけでしょうか??
沢山作るから、安く出来ると皆思うかもしれません。それも一理あります。
でも今日はそれだけではない事の話をしようと思います。




まずよくファストファッションだと言われますが、実はそれは間違いなのです。

何故ならばそもそもファストファッションとは、パリやニューヨークで発信されるトレンドを
いち早く分析し、後発(作り込みが)にも関わらず、早く店頭にトレンドと同じような服を
並べるブランドの事を指す言葉です。例えばZARA H&M Forever21 等のブランドです。
それに比べて数年前から数年後の商品(未来の商品)を考えて、新しい価値の服を
どうすれば、安定的に効率的に、しかも大量に生産出来るのかを考えて、毎シーズンを迎えます。

そして毎シーズンごと、消費者からのフィードバックを分析し、次シーズンの商品に反映させる
事で毎回アップデートさせて、商品化を今までしてきました。その結果今のフリースもヒートテック
もウルトラライトダウンも今のような姿になりました。
ですのでファストファッションとは少し違ったものなのです。


しかしながら、値段が安いので同じくくりのように感じてしまうと思うのですが、
商品作りのシステムは独自性のあるものであり、またこの独自性を生み出したのは私たち日本人
ならではではないかと私は思います。     


先日の考える人でも書かせて頂きましたが、これが駄目だったら、こうしてみてはどうか。
また駄目だったら、次にこういうのはどうか?と創意工夫をやり続ける事が得意なのが日本人です。
それには、高い集中力、忍耐力、精神力が必要ですが、私たちはこの能力に長けた国民性があります。

そしてそれらは企画生産プロセスでも、遺憾無く発揮されており、高機能かつ高いデザイン
性の¥1500の商品を作る為には、何を省いて、どこを合理化すれば、コストがはまるのかを徹底的に分析し
プロトサンプルの作成を繰り返しながら、着地点を見つけていきます。
それは並大抵の事ではありませんが、逃げないで目の前の壁に挑み続ける事が出来たものだけが、
今までヒット商品となり、世間一般に認知されてきたのです。
今回のドライEX はまさにそのようなプロセスの結晶といえる物だと感じています。
また、これらのやり方は全ての商品に一貫しています。


だからただ多く作っているから、安い訳ではないのです。その裏には制作者の高い志や強い意地、問題(コスト)
を解決する為の数々の創意工夫が詰まった商品ばかりなのです。

考えても見て下さい、お金や数量だけで解決出来るのがファッションですか? 違いますよね。
あのお店に並ぶ商品の背景にあるのは
あるにはあらゆる人が快適で過ごしやすいと感じる、未来の服を作りたいという強い志です。



最後にこの商品が高いのか?安いのか?の話に戻ります。
今はもしかすると、他のスポーツ衣料品等と比べると、驚く程安く感じるかも知れません。
ただこれはスポーツウェアではありませんし、下着でもありません。私たちが目指したものは
あくまでカジュアルウェアであり、服そのものに進化をもたらす未来の服です。

その視点で考えると私はまだまだ高いような気がしています。だって極端な事をいえばこんなシンプルな
Tシャツってちょっと昔で考えたら、HanesのパックTのようなもんでしょ。
だから10年後にはそれらに取って代わる物に、なっているじゃ無いかといつも考えています。
そしてよく破格の安さで、、、、と言われますが、正当な賃金を全てに支払い、またそれらが正当であるよう
努力をし、あらゆる面で創意工夫や、売る為の戦略をたて実行するからこそ、成立する企業努力の結果
その時代時代で購買意欲をそそる価格設定が可能になっているのです。


これから益々進化をさせていきます。自動車や電化製品等と並ぶ世界の一級品が家の近くで気軽に
購入出来る。それはとても幸せなことだと思います。そんな一級品が少しずつ増えていければ良いなあ、
その為に頑張らないといけないなあと、いつも考えています。


自前のブランドで存分に自己を表現し成功しているデザイナーが脚光を浴びる一方、このような事を真剣に
考えている企業デザイナーがいても良いのかなー、またそういう人物にもっと光が当たる時代は来ないかな
ーと最近考えています。


今日、良い服には手間ひまがかかっているので、破格の値段で洋服が売られているのはおかしいという記事を
目にしたので、思っているところを書かせて頂きました。
長くなりましたが、是非お店に足を運んで頂ければと思います。そして良くない所を沢山教えて下さい。
全て解決出来るよう努力致します。


Nehahalo
by nehahalo | 2012-02-02 15:34